リスク・アセスメントと学校引率

校外研修先での痛ましい事故についての報道に触れるたびに、リスク・アセスメントはしたのだろうかという疑問が浮かぶ。もしかしたら、日本ではまだ普及していないかもしれないので、簡単に説明しておく。

イギリスでは、学校の教育の一環として生徒を引率して外出する場合、リスク・アセスメントという書類を作り、上司にOKをもらわなければならない。

左は遠い昔に作った一例だが、外出時における危険性を思いつくかぎり列挙し、それに対する対策、対策後にどれくらい危険性が残るかなどを書く。学校の生徒安全担当の管理職が書式を作り、教員は引率がある度にこの書式を埋める。

このシステムのよいところは、生徒を引率する前に、引率教員が危険性を詳細に考える機会が必ずあるという点と、それを安全担当の上司が専門知識を活かしながらチェックしてくれるという点だ。OKがもらえなければ、当然やり直し。OKをもらえなければ外出は許されない。

学校が携帯を用意
外出先で、自由行動などの際に生徒が引率教員に連絡が取れるように、学校は専用の携帯を持っている。引率時にはそれを持ち出して、生徒と連絡を取り合う。このような場合、教員個人の携帯を使うようなことはない。

引率生徒のメディカル情報
もう一点、外出時に用意しなければならないのは、生徒のメディカル情報だ。どの生徒がどんなアレルギーを持っているか等の情報を整理した表だ。ナッツアレルギーや、てんかん、糖尿病などの命に関わるものは、特に気を張って当該生徒をモニターする。医者から薬が処方されている場合、出発前にその薬を持っているか確認する。あるとき、生徒が薬を持ってくるのを忘れたことがあって、これはイギリス国内だったので、親に連絡して宿泊先まで持ってきてもらったことがあった。

救急バッグ
書いていて思い出したが、救急用品が入っているリュックサックを常に持っていくことが義務づけられていた。実際に使用することはないままリタイアを迎えることができたが、引率先で生徒が怪我などをした場合、このバッグの中身のものを使って応急手当をし、病院に向かうことになる。

参加生徒数と引率教員の比率
生徒何人につき、1人の教員が付かねばならないという比率も決まっていて、例えば私が生徒32人を連れて日本で研修旅行をした際には、8対1であった。したがって、引率教員は4人。

業者に委託する場合は安全責任が取れる業者を選ぶ
例えば、貸し切りバスに生徒を乗せた場合、安全の責任はバス会社にある。研修先で業者を雇った場合、一義的な安全責任はその業者にある。業者が生徒の面倒を見ているあいだ、生徒を注意したりして安全の確保に協力はするが、その先はプロとしての業者の責任になる。安全責任を取れない業者を雇うことはない。

以上のようなことが、少なくとも公立学校では決められていて、学校と教員はこれにしたがって仕事をする仕組みが出来上がっている。生徒の安全は大きな分野なので、今回はその一部だけについて述べた。

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