英語を話せる優位性がなくなる日:それでもインターに行かせる?

1989年に渡英して以来、英語と格闘してきた。英語が好きだったが、国語教師の英語力など高が知れている。「試験に出る英熟語」をもとに丸暗記した3500例文の単語を入れ替えて、その場その場を、冷や汗をかきながら乗り切ってきた。最初の十数年は在英の日本人社会の中で仕事をしてきたので、外に出て英語を使っては日本人社会に避難することの繰り返しで、英語の力はなかなか伸びなかった。

ノッティンガム大学の師範学校を修了して現地校の日本語教員として働き始めてから、英語力はぐんと伸びた。朝のミーティング、授業、放課後の会議等、すべて英語漬けの毎日だった。子どもが話す英語というものは特殊な慣れが必要で、昔同僚だった英語の先生が私の学校にやってきたとき、彼女が子どもの話す英語が分からないのに、私が分かったという瞬間が、勲章となった。

幸い日本語の実績が良かったので私を雇い続けることに問題は起きなかったが、地域を代表するような学校の教員の英語力には遠く及ばないものだった。17年後にパブリック・スクールに移ってからは、毎日のメールひとつひとつの長大さ、言葉遣いの難しさなど、さらに高い英語力が求められた。

そんな苦労に変化が訪れたのは、Grammarlyというアプリケーションが出てからだ。それまで年に何回も書くレポート(親御さんに向けて、お子さんの学習度や改良点などを書く)は、一旦書いてからすべてネイティブにチェックしてもらっていたが、このGrammarlyというアプリが出てからは、それを使って土台を作るようになり、ネイティブの負担が軽くなった。

そして、ChatGPTが出た。それがどれだけの力を秘めているか知ったとき、正直、私は語学教員を続ける意欲がなくなってしまった。では、なぜ教員の仕事を続ける意欲が失せたか。

日本語のコマだけでフルタイムの授業数を埋められないので、一番若い7年生にICT(information and communication technology)を教えることになった。エクセルやデータベースの使い方などを子どもに教える教科だ。IT分野に関心を持つようになり、やがてRay Kurzweil(レイ・カーツワイル)の存在を知るようになった。彼の提唱するSingularity(シンギュラリティ)という言葉を知った。コンピューターが人間の助けを必要としなくなり、自律することを意味する。彼は2045年にそれが起きると言う。次のTED Talkでは、2030年ころ、脳内に入り込めるナノボットが、脳とインターネット上のデータをつなげるようになるという。彼は10年前のTED Talkでも同様の予測をしている。

もうひとつ知ったのは、AIの発達のスピードである。スタンフォード大学の教授が、立ち上げから人間レベルまで達するのに、これまでなら10年かかっていたものが、最近は2年や1年で人間のレベルを超えるようになるまで成長すると指摘していた。次のグラフはそれと同じ趣旨のグラフだが、最近のAIの発達の加速度的な早さが分かってもらえると思う。

この加速度的な発達の早さはExponential growth(指数関数的成長)と言われる。オンラインのグラフツールで典型的な指数関数的成長のグラフを書いてみると次のような形になる。

この指数関数的成長の早さは、直線的な成長に慣れた我々の感覚を超えている。予期していたよりもずっと早く物事が進展する。

だから、私はChatGPTが出てきたとき、語学教員の仕事など数年のうちに意味がなくなって消滅するだろうと思った。日英の翻訳を仕事にしている会社などは、もうすでに風前の灯火となっているはずだ。英語とフランス語、ドイツ語の間の精度はもうすでに非常に高いのに比して、日本語は少数言語かつ異質な言語なので精度が出るまで余計に時間がかかると思うが、それでも、近いうちに精度が跳ね上がるはずだ。

日本で英語学習、英語教育が声高に言われているが、もうすでに次のようなガジェットが登場している。

Rey Kurtsweilは5年後にナノボットが脳内に入り込んで脳とインターネットをつなげられるようになると言っている。このTimekettleも数年のうちに劇的な進化を遂げて、相手と自分がそれぞれの言語で何不自由なく会話ができるようになるはずである。そして、おそらくナノボット化して、言語の壁という物が地球規模で崩れていくと想像できる。

向こう10年、下手をすれば向こう5年でそうした時代がやってくるのに、インターナショナルスクールに子どもを行かるかどうか思案するというのは、それが英語を身につけさせるためだけなのであれば、再考の余地があるのではなかろうか。莫大な学費を払って、何年も通わせて英語ができるようになったは良いが、学校を卒業するころには、周りの皆は同時通訳ガジェットを使って同等のことを苦も無く行っているという状況が待っている可能性が高いように、私には思える。

ネルソン・マンデラは、「If you talk to a man in a language he understands, that goes to his head. If you talk to him in his own language, that goes to his heart(相手が理解できる言語で話しかければ相手の頭にとどくが、相手の母語で話しかければ心にとどく)」と言った。その意味で、直接英語話者の心にとどくコミュニケーションをしたければ、英語を身につける意味はあろう。だが、将来的に見て、英語が話せることの優位性は、上記のような技術発展を背景に、将来的に失われていくと考える。

子どもをインターナショナルスクールに通わせることを考えるのであれば、もう少し頑張って、イギリスのボーディング・スクールに通わせる意味は充分にあると思う。イギリスのボーディング・スクールの教育には、素晴らしいものがあり、日本にある学校ではまず真似のできないものだ。英語ではなく、教育の質を求めて、子どもをボーディング・スクールに通わせるというのであれば、その意義は深いと思う。他にもイギリスのボーディング・スクールに通わせるメリットはいくつもあるが、ここでは触れないことにする。

皮肉なことに、ここで述べたような知識は概ね英語を通じて得ることができ、日本語ではほとんど出回っていない。英語だとFood for the thoughtと言うが、お子様の英語の教育について考えるときのご参考になれば幸いである。

2 thoughts on “英語を話せる優位性がなくなる日:それでもインターに行かせる?

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